エレメントのコンセプトは日産へ???
 エレメントの国内販売終了から随分と時間が経過しましたが、アメリカでは相変わらず良く売れているようです。2月の終わりにシカゴに行った時も、たくさんのエレメントを見かけました。
 最近のホンダ車を見ていると「低床化一本槍」、しばらくエレメントテイストのホンダ車にはお目に掛かることはないようです。現在の状況は、一時期セダンをずらりと揃えて不調に陥った頃を連想させます。現在のラインナップ、良く言えばホンダらしい思い切りの良さ、悪く言えば・・・遊び心の欠如。遊び心はホンダの専売特許だと思っていましたが。


 エレメントのコンセプトが初めて発信されたのは、2001年の北米国際自動車ショーでの「モデルX」でした。当時はBピラーがない大きく開く観音開きのサイドドアは市販できないと考えられていたそうですが、2003年(2002年後半?)に現在の形でUSホンダから発売されます。

 その直後、2004年3月のジュネーブショーでは、日産は観音開きの小型クロスオーバーSUV「キャシュカイ」Qashqai)を発表しています。キャシュカイは西アジアの遊牧民の部族名で、「都会の遊牧民」が開発コンセプト。日産デザインヨーロッパ初のコンセプトカーだそうで、欧州らしいネーミングですね。大径ホイールと強調されたホイールアーチは最新の日産に見られるデザインで、結構、格好いいですよね。同年には観音開きのRX-8も発売されているので、この頃の流行だったのかも知れません。

キャシュカイ サイド キャシュカイ フロント キャシュカイ リア


 日産のコンセプトカーを追いかけてみると、2005年のジュネーブショーでは「ザルート」(ZAROOT)を発表しています。道(The Route)とルーツ(The Root)からの造語で、探検や自分の道を築くSUVのイメージを表現しています。エクストレイルのような本格的なオフロード性能に、大きく開くガルウイングタイプのドアはエレメントもビックリの開放感で、斜め上から見たラインはエレメントを連想させます。と、言うより全然洗練されています。難点はアーチを描くルーフラインで、最新のウイングロード(元祖はインフィニティQX56かな?)に見る特徴ですが、不自然であまり恰好良いとは思えません。

 ショーモデルですから、観音開きのドアを発展させ派手なガルウイングを採用した思われますが、きっと次期エクストレイルはこのザルートの線で発売されるのでしょうか? もちろんガルウイングは採用するとは思われませんが、普通の4枚ドアになるのでしょう。個人的には車高を上げてスクエアにして、観音開きだったら購入を考えちゃいます。走行性能はエレメントより数段上のはずですから!

ザルート サイド ザルート フロント ザルート リア



 2006年のジュネーブショーでは「テラノート」を発表。アドベンチャースピリットをテーマとした4WDで、地質学や考古学の研究者や冒険家たちが、車内を研究所のように使用するための装備が満載。世界中のどんな場所でも、観測や通信が可能、3人乗りで片側だけの観音開きだ。

 回転式の後部座席にはパソコンのキーボードも組み込まれ、ルーフに付けられたアンテナ、明るいガラスルーフのキャビンと快適な研究室が設けられているよう。グッドイヤーの19インチ専用タイヤは、自動的にタイヤ圧調整を行い、オフロード用のタイヤへと変形するとか。サイズは全長4965mm×全幅2100mmと少々大きめなので、自分には不向きだが、意欲的なコンセプトカーだと思う。

テラノート サイド テラノート フロント テラノート リア


こうしてコンセプトカーを追ってみると、ホンダが描いたエレメントのコンセプトは、より洗練されて日産が引き継いでいるような・・・